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皆さんこんにちは!
鷲頭牧場、更新担当の中西です。
導入価格はPLの“最初の一撃”。同じ舎・同じ飼料でも、導入品質×価格×導入時期で“ゴール(枝肉・歩留・格付け)”が変わります。F1(乳用×肉用)、交雑、和牛——それぞれの価格相場・季節性・リスクプロファイルを理解し、検疫・輸送・初期飼養の標準を整えることで、事故率と治療コストを劇的に抑えられます。
1)タイプ別の特徴と狙い🎯
• F1(乳×黒毛など):価格は比較的安定、増体良好、仕上げは赤身寄り。回転重視の設計に向く。
• 交雑:設計しだいで赤身と脂質のバランス。遺伝のばらつきに配慮し群内の均質化が鍵。
• 和牛:導入価格は高いが、BMSによるプレミアムで回収可能。遺伝×管理のブレを許さない運用が必要。
2)市場の季節性・購買戦略📅
• 子牛市場の波(繁殖季の偏り・行事・輸送条件)で価格が揺れる。
• 分散導入:価格高騰月の比率を下げ、平均取得単価を平準化。
• 飼槽の空き日数を短縮するため、導入→検疫→群入れまでの工程表を前倒しで準備。
3)購買時チェックリスト(リング横で使える)📝
• 体重・体高:年齢相応か、瘦せ・栄養不良はないか。
• 臍・便・鼻汁・耳:慢性下痢・肺炎サインの有無。
• 毛艶・被毛の立ち:脱水や栄養状態の指標。
• 歩様・関節:将来の蹄トラブルを回避。
• 由来:ワクチン履歴・初乳管理・母牛BCS。
• 血統:EBV/EPD(増体・サシ・産肉)や実績。
4)検疫・輸送・初期飼養🚚
• 検疫区画:30日を目安に隔離(最低でも14日)。空気は本舎と逆流しない配置。
• 到着後:まず水、次に粗飼料、最後に濃厚。直後の過給はNG。
• ストレス軽減:電解質水・ビタミン、環境は静かに暗め、群入れは段階的に。
• 疾病監視:到着48時間は2回/日の体温測定。
5)価格と品質の感度分析🧮
• 導入単価+2万円でも、ADG+0.05kg/日・治療率-10%・死亡率-1%が見込めれば、総利益はプラスになる場合が多い。
• 安値買いのリスク:治療費↑・仕上げ遅延・歩留低下の“隠れコスト”が膨らむ。
6)サプライヤー戦略🤝
• 固定取引先の育成:初乳管理・ワクチン・衛生の標準が揃った牧場から継続購入。
• 情報共有:出荷後の枝肉成績をフィードバックし、選抜・改良を共に進める。
7)遺伝の設計とブランド📐
• 和牛ではBMS・オレイン酸、交雑・F1では増体・歩留を重視。
• 地域ブランド(例:地域飼料活用・長期肥育)と紐づけ、差別化の物語を設計。
8)導入標準SOP(現場用)🧭
1. 購買1週間前:検疫房消毒→乾燥→資材準備(個体器具)。
2. 当日:到着→体温・呼吸・便確認→水→粗飼→濃厚の順。
3. 48時間:体温2回/日、食下量・反芻の記録。
4. 14〜30日:ワクチン・駆虫・耳標登録、群編成、徐々に本舎へ。
まとめ:導入は“価格の勝ち負け”ではなく総合設計の勝ち負け。品質×検疫×初期飼養で、肥育期の勝率は最初から決まります。📈🐂
鷲頭牧場では、畜産をもとにした加工や販売も行う6次産業型の牧場を運営しています!
私たちの牧場は、九州の「屋根」とも呼ばれるくじゅう連山のふもと、標高1000mの飯田高原にあります。ここで育てた安全で安心な食材を、農家レストランで直接みなさんにお届けしています。
広々とした自然いっぱいの牧場で、四季の移り変わりを楽しみながら、かわいい子牛や山羊、馬、猫たちがみなさんをお待ちしています!雄大な景色と元気いっぱいの動物たちの笑顔に、どうぞ癒されてくださいね。

皆さんこんにちは!
鷲頭牧場、更新担当の中西です。
結論:哺育の勝敗は“1日の設計×100日の反復”で決まる。 ミルクの濃度・温度・回数、ハッチの乾燥・換気、敷料の水分、バケツ・哺乳瓶の洗浄順序、離乳判定のKPI(DMI:乾物摂取量)——この5点を“全員が同じように毎日実行”できるかが、下痢・肺炎の曲線を寝かせ、育成コストを下げ、後の肥育ADGを押し上げます。ここでは日齢別マニュアルとエビデンスにもとづく介入を、現場テンプレで整理します。
1)日齢別プロトコル(例)📆
• 0〜2日齢:第4回で述べたとおり、初乳IgG確保が最優先。臍処置・体温管理・呼吸確認。
• 3〜7日齢:
o ミルク:ミルクリプレーサー(MR)12.5〜15%濃度、体重×10%量/日を2回給与(例:40kg→4L/日×2回)。温度は38〜40℃で一定。
o 給水:哺乳後2時間は清水を別バケツで。
o スターター:嗜好性の高い子牛用配合を常時自由採食(粉塵少・酸化臭なし)。
o ハウジング:個体飼い、敷料は乾いた藁。アンモニア臭ゼロが基準。
• 8〜21日齢:
o MR継続:同濃度で1日2回、飲み切り時間を10分以内に。
o 電解質:便性状(スコア)2以上で哺乳とは別時間に投与。
o ワクチン:ロタ・コロナ・大腸菌の母牛側or子牛側プログラムを獣医と設計。
• 22〜45日齢:
o 離乳準備:スターター摂取1.0kg/日×3日連続を前提に1回給与へ漸減。
o 水:流量0.5〜1.0L/分、ぬるめ(季節で調整)。
• 46〜70日齢:
o 離乳判定:スターター1.5kg/日×3日が達成できれば完全離乳。
o 群飼移行:健康スコアでペアリング、体重差10%以内で編成。
ポイント:離乳は“日齢”ではなくDMI(固形飼料の摂取)で判定。早すぎれば体重伸びが止まり、遅すぎればコストが跳ねる。📊
2)下痢・肺炎のゼロ化に寄せる運用🧯
• 下痢(スコアリング):水様=スコア3。体温、眼球陥没、皮膚つまみ戻り時間を観察。第一選択は電解質+保温+保清。
• 病原の想定:
o 0〜7日:E. coli優位(初乳・衛生)。
o 7〜14日:ロタ・コロナ(ワクチン+バイオセキュリティ)。
o 10〜21日:クリプトスポリジウム(敷料・消毒・隔離)。
• 肺炎:耳垂れ・鼻汁・呼吸促迫・咳。夜間の冷え込み+湿度がトリガー。換気(入口1、出口1)とドラフト(冷風直撃)回避を両立。
• 抗菌薬の使い方:発熱・食欲不振・呼吸器症状など全身状態の悪化時に、獣医指示で最小有効期間。乱用は耐性化と増体低下を招く。
3)ハッチ・敷料・洗浄の標準🧼
• 乾燥>清潔>保温の順。水分活性が下がれば病原は増えにくい。
• 哺乳器具:ミルク→予洗(ぬるま湯)→洗剤洗浄→すすぎ→酸性リンス→乾燥ラック。
• 敷料:手で握って固まれば交換。1日1回の攪拌+週1全量交換が目安。
4)KPIダッシュボード(哺育版)📈
• 初乳IgG到達率(Brix換算)
• 離乳日齢と離乳時体重
• 哺育期死亡率(目標<2%)
• 下痢・肺炎発生率(1頭1回以下を目指す)
• スターターDMI(週次)
5)1日の作業標準(SOP例)🧭
1. 朝:健康観察(耳・眼・姿勢・便・呼吸)→記録。
2. 哺乳1回目(温度38〜40℃、個体固有器具)→器具洗浄。
3. スターター補充・水バケツ洗浄→敷料攪拌。
4. 11時:ハッチ前通風・温湿度チェック→ドラフト対策。
5. 夕:健康観察→哺乳2回目→器具洗浄→ハッチ周り消毒。
6. 夜:冷え込み予報時の保温準備(ジャケット・カーテン)。
6)費用対効果(ROI)計算の考え方💰
• ミルク濃度+0.5% → ADG +0.05kg/日 → 離乳時体重 +2〜3kg → 肥育期ADG+0.02〜0.03kgを後押し。
• 洗浄工程の標準化 → 下痢率-30% → 電解質・治療費・作業時間が圧縮。
• 換気改善(開口追加)→ 肺炎-40% → 成長停滞の“隠れコスト”を削減。
7)チェックリスト(壁貼り用)✅
• ミルク温度は毎回測る(非接触温度計OK)。
• 哺乳後2時間は清水、電解質は別時間。
• スターターは酸化臭ゼロ、粉塵少。
• ハッチは乾燥・通風、直射・ドラフト回避。
• DMIで離乳判定、日齢では決めない。
まとめ:哺育は“科学されたルーティン”。温度・濃度・乾燥・換気・DMIの5点を守り抜けば、下痢・肺炎は限りなくゼロに近づきます。🐮✨
鷲頭牧場では、畜産をもとにした加工や販売も行う6次産業型の牧場を運営しています!
私たちの牧場は、九州の「屋根」とも呼ばれるくじゅう連山のふもと、標高1000mの飯田高原にあります。ここで育てた安全で安心な食材を、農家レストランで直接みなさんにお届けしています。
広々とした自然いっぱいの牧場で、四季の移り変わりを楽しみながら、かわいい子牛や山羊、馬、猫たちがみなさんをお待ちしています!雄大な景色と元気いっぱいの動物たちの笑顔に、どうぞ癒されてくださいね。
