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日別アーカイブ: 2025年9月19日

第21回牧場雑学講座

皆さんこんにちは!

鷲頭牧場、更新担当の中西です。

 

食用牛牧場業は「生き物を育てる」仕事でありながら、同時に高度な数字のゲームです。収益性は、①導入(子牛)価格、②日増体重(ADG)と出荷月齢、③飼料単価と給与効率、④歩留・枝肉格付け、⑤ロス(事故・疾病・死亡)に強く左右されます。ここでは業界の全体像と、どこで利益が生まれ、どこで失われるのかを具体的に整理します。💡

 

1)主要な経営タイプ
• 繁殖:母牛群を持ち、受胎→分娩→子牛出荷まで。子牛価格の相場に直撃される一方、飼料は粗飼料中心で現金支出は比較的穏やか。🍼
• 肥育:子牛を導入して仕上げる。飼料比率が高く、飼料市況の影響が大きいが、格付けを上げれば付加価値が伸びる。🍽️
• 一貫:繁殖と肥育を合わせる。導入リスクを抑え、一貫した健康管理・遺伝改良のメリットを享受できるが、設備・労力・資金繰りの難易度は上がる。🔁

 

2)「稼ぐポイント」とKPI
• ADG(Average Daily Gain:日増体重):肥育期間の短縮=飼料費・固定費の圧縮。目安値を設け、群・個体でモニタリング。📊
• FCR(飼料要求率)/G:F:1kg増体に必要な飼料量。配合・繊維・嗜好性・給与回数で最適化。🌾
• 事故率・疾病率:哺育期の下痢・肺炎、肥育期の食滞など。“予防は治療より安い”を徹底。🛡️
• 歩留・格付け:BMSやロース芯、枝肉歩留。仕上げ期の設計誤りが最後に響く。🔪
• 在庫回転:満床率と回転数。舎内の回転設計=キャッシュフロー設計。🔄

 

3)コスト構造の理解
• 変動費:濃厚・粗飼・副資材(敷料・ベッド)、獣医療費、光熱水。
• 固定費:減価償却、人件費、金利、保険、修繕。
• 感度分析:飼料単価±5% / ADG±0.1kg / 出荷月齢±1か月が損益に与える影響をシミュレーション。🧮

 

4)ロスを最小化する原則(5つ)
1. 初乳の完全管理(量×タイミング×質)。
2. 換気・乾燥・清潔(湿度とアンモニアは敵)。
3. ストレス最小動線(給餌・給水・寝床の3点最短)。
4. データに基づく給与(食下量・反芻・反応で即微調整)。
5. 仕上げ期の一貫性(変動を起こさない“静かな仕上げ”)。

 

5)今日から使えるミニチェックリスト ✅
• 毎朝、食槽残飼の質(色・匂い・温度)と反芻時間を記録。
• 給水流量(1頭あたり必要水量の確保)。
• ベッド乾燥度(手で握って固まらないか)。
• ADGダッシュボード(群別・個体別)。
• ヒヤリハット共有(朝ミーティングで1件)。

 

まとめ:利益は「初乳の一杯」と「最後の一匙」から生まれる。最初の48時間と仕上げ30日を外さなければ、牧場の損益は大きく好転します。💪

 

鷲頭牧場では、畜産をもとにした加工や販売も行う6次産業型の牧場を運営しています!
私たちの牧場は、九州の「屋根」とも呼ばれるくじゅう連山のふもと、標高1000mの飯田高原にあります。ここで育てた安全で安心な食材を、農家レストランで直接みなさんにお届けしています。

広々とした自然いっぱいの牧場で、四季の移り変わりを楽しみながら、かわいい子牛や山羊、馬、猫たちがみなさんをお待ちしています!雄大な景色と元気いっぱいの動物たちの笑顔に、どうぞ癒されてくださいね。

お問い合わせはこちらから!

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